2・51図 カム軸駆動装置
1)吸排気弁 (1)構造と機能 弁は、弁機構により開閉され、空気を吸入し燃焼ガスを排出する。また、シリンダ内の気密を保つ機能をもっている。一般の4サイクルエンジンに使用されている吸気弁形状は、吸気ポートの形状と関連し、吸気抵抗が小さいことが望ましい。また排気弁材料は弁が600℃〜800℃程度の高温になるため、熱伝導がよく、高温に対する耐久性の優れた材料が望まれる。一般にはキノコ弁(ポペットバルブ)が広く用いられているが、キノコ弁は傘部の形状によっていろいろな名称が付けられている。マッシュルームタイプはSAEの標準型で、中心部の強度を考慮し、ヘッド部を球面としている。この形式の弁は主に低速ディーゼルエンジンに用いられるが、重量および受熱面積が大きくなるのが欠点である。 また、フラットヘッドタイプの弁は、マッシュルームタイプの欠点を除き、製作も容易で最も広く用いられている。排気弁は吸気弁と異なり、絶えず高温の排気ガスにさらされるため、特に高温強度が要求される。 弁の数は一般には吸気弁、排気弁を各1個ずつもつ2弁式が多いが、特に高速性能や高出力を望む場合、充填効率を高めるため3弁式あるいは4弁式が採用される。4弁式の場合、2弁式に比較して弁の総開口面積は30〜40%増加するが、弁の総重量はlO〜15%増加するほか、弁装置が複雑化する欠点がある。 燃焼ガス温度は瞬間的には2,700℃にも達し、この温度は鋼の溶融温度(1,500℃)よりもはるかに高いので、弁は高温時強度低下の少ないクローム鋼、オーステナイト鋼などの耐熱鋼が使用される。耐熱鋼は加熱しても成型加工が難しいため、型打鍛造、
前ページ 目次へ 次ページ
|
|